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ベルリン、僕らの革命 bunnkamura ル・シネマにて


「グッバイレーニン」 のダニエル・ブリュールくんがまたまたイカした革命家。
もう、すごくすごくいい映画みちゃったよー! と東京タワーのてっぺんから大騒ぎしたいくらい感動しました!

頭脳明晰で料理上手なヤン。
友達思いで脳天気。こちらも頭脳明晰なピーター。

この二人の男の子はその頭脳をフル活用した革命家。
金持ち宅へ進入しては家具を配置換えしてさまざまな警告文を残してくる。
「贅沢は終わりだ」「財産を持ちすぎだ」

そういった活動に対しヤンは「モノを盗まないことで監視されている、という恐怖を金持ちに与えたい。誰にも相談出来ない孤立感を与えたい」と説明する。

ヤンとピーターのコンビネーションはきっちり固く結ばれてひとつの隙も見いだせない。

なのに、やはりそこへ介入してくるのが女の存在。
せっかく楽しく男の子達が遊んでいるのに、つまんない好奇心とおせっかいで秘密の基地をめちゃめちゃにしてしまう。
見ててほんと腹立たしくて、「ちょっとやめなさい!」と注意したくなるくらい。

でも彼女も心の動きも女故のずるがしこさも、私が女故に悲しいくらい先が読めてしう。
昔の若かったころの自分をみているようで、多分にせつなくなってくる。

この3人の若者の描き方が絶妙。
ひとりひとりのキャラの掘り下げ方がとても丁寧だし、役者達の演技力も文句ない。
若者特有の青臭さと無鉄砲。口は達者で頭も切れる。時間はあっても金はない。
世界中すべての若者に共感されることだろう。

ヤン演じるダニエル・ブリュールくんは「グッバイレーニン」 でも素晴らしい演技とやるせなさを見せつけてくれましたが、
今回も相変わらずの童顔でやることやってチャーミング。
彼はハンサムなのかな? と思って眺めていれば、ひょいっとジャック・ブラックのような顔つきになることもあるし、
お日様の下で微笑んでいればあの永遠の美少年「リバー・フェニックス」のように見えたり、
まさに七変化の豊かな表情。

ピーター演じるスタイプ・エルツェグも大変魅力的な俳優のようです。
ヤンとの変わりない友情と、変わってしまった彼女との愛情を両手に抱える演技はお見事!というほかありません。
村のパブでのんだくれて帰宅した山小屋のベッド。

はたしてピーターは誰の隣へ倒れ込むのか?
山小屋でヤンとふたりバックパックしてるとき、ピーターはヤンに何を言うのか。
モニターを処分しようとするヤンにピーターは何を伝えるのか。

その人間のもつ愛情と優しさと、その本質すら明らかになれてしまいそうな上記の場面。
ピーターはどこまでも寛大で広い心の持ち主であることが明らかになる。

見終わったあと、こんなに微笑みがこみ上げてくる映画は久しぶり。
若者と革命。

少しのミスであっという間に攻撃的で破壊的で自滅的。
すべてにおいて過剰描写に陥りがちな素材2点。
この映画の成功は、男の子二人を馬鹿に設定しなかったところ。
ふたりとも頭脳明晰で沈着冷静、そして多少独自路線ではあるけれど、ワールドワイドな視野を持っている。
これのどれかひとつでもかけたら、この映画は大失敗だったはず。

何かを起こす人間は、それなりの知恵や頭脳、知識と根拠、そして確固たる理想を掲げなくてはならない。
そうでなければ説得力は生まれない。

もしも、彼らのような若者がベルリンという土地に生きる若者達のステレオタイプなのだとしたら、
東京はかなり危機感を持った方が良いのでは。

声を大にして騒ぐ前に、振り向いた人間達を説得できるスローガンを掲げることが出来るのかを考える必要がある。

彼らの起こす「エデュケーション」と呼ぶ革命は、電気系統やネットインフラの基礎知識無くしては成り立たない。

本作品はそこらへんの描き方が絶妙であると言える。
金がないなら知識と時間(暇じゃなくてはできない)と若さ(馬鹿馬鹿しいとも思えるナンセンスさ!)で勝負を挑む彼らに、なにも持っていなかった頃の自分をふと思い出して笑ってしまう、そんなすがすがしい作品でした。

ダニエル・ブリュール
1978年6月16日生まれ。スペイン人とドイツ人の両親のもと、スペインの」バルセロナにて生まれる。

「ベルリン、僕らの革命」 ヤンを演じるダニエル・ブリュール氏のインタビューはこちらこちら


ダニエル・ブリュールくんの新作は今後2本も上映待機です。
ジュデイ・デンチとマギー・スミスとの共演で涙を絞って見せましょう。「ラヴェンダーの咲く庭で」

もうひとつはこの秋公開「青い棘」
これはとテイラーを見る限り、ちょっと妖しい感じ。「アナザー・カントリー」や「モーリス」を青春時代に見ました、リアルタイムで。という中年の方には切なすぎる作品のような気が致します。
コリン・ファースもルパート・エベレットもヒュー・グラントも、みんな昔はこうでした。
と、ひとり妖しい微笑を浮かべる38歳のアテクシぜったい観るでしょう。ふふふ

Posted: 水 - 5月 25, 2005 at 03:47 午後        


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