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天使の肌


いいお話しだった。
ぽろり。
という感じで無意識に涙があふれ出る映画でした。
ヒロインを演じたモルガン・モレ、新人だそうですが、たしかに、この新鮮さは新人にしか出せないでしょう。
女優の経験値を積んでしまったら初々しくてまっすぐで野暮ったい外見を、ここまでの表現は難しいと思われます。
新人だからこそ、できた「役」。
しかしながら、新人とは思えぬ「おちつき」(鈍くささ?)は見上げたモノ。
今後が楽しみな女優さんです。

共演は鼻ちゃんジェラールくんの御子息ギョーム。
まったくタイプじゃないけど、ハンサム。かなりくせがありそうですが。

個人的には監督のヴァンサン・ペレーズが好み。
彼、「王妃マルゴ」や「恋人達のアパルトマン」などに出演してるれっきとした俳優業のかた。
とっちゃんぼうやな彼が、どんな映画を撮ったのかな? 興味本位で観た作品に、
しっかりはまってノックアウトされました。

ここでぜひとも語っておきたい俳優。それは修道女を演じたドミニク・ブラン。
地味ィな役者さんですが、ワタクシの大変好きな女優です。
小柄な身体に大きな瞳で押さえた演技が素晴らしい。
抑圧されている、あるいはされた過去を持つ女性を演じさせたら、彼女は適役。
外見的にもそういう役柄がぴったりです。
ご本人にもその自覚があるのか、比較的似通ったタイプの人間を演じることが多いようです。

ひとつの役柄にとらわれるのは心外だ、という発言をよく役者の口から聞きますが、
ほんとうにそうなんでしょうか。
自分にはこれがぴったりだ。と、自覚できる役柄に出会えることは果たして不幸なのでしょうか?
私はそうは思いません。
観る側も演じる側も安心していられるエンターテイナーを提供するのも役者たちの大事な仕事ではないでしょうか。

脇役に徹する、というのは役者本人にとって大変勇気のいる選択だと思いますが、それを選択したあとの役者人生は、作品毎に180度反転する役柄を演じるのとは比較にならない難易度の高い演技力が要求されると思います。

同じようなものを同じではなく演じ分ける高度な実力。
聡明さと、分別と、役者としても色気を持たねば決してできない芸当です。

それを備えた希有な女優、それが私の中にいるドミニク・ブランなのです。

天使の肌

Posted: 火 - 4月 12, 2005 at 12:34 午後        


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