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あ、読めた


青山通りにある「ピエールエルメ」の2階に、ショコラバー、というのがある。
つまり、ピエールエルメが推奨する見た目に美しくエレガントでトレビアンなスーパーチョコレートをいただける
カフェスペース。
「ピエールエルメ」オープン以来、いつでもにぎわう店内の華やかさを敬遠して興味はあっても階段を上ったことはなかった。

しかし!今は静かな静かな「お盆」シーズン。
都内の静けさと平穏さは、お正月の元旦とならぶ東京の風物詩。
走る車も歩く人も軒並み少なく、店もほとんどが「夏休み」と称して店を開けない。

昼間は観光客でにぎわう青山も、この季節、通りを歩くのは顔見知りの地元住民くらいで、大変おだやかな街になる。
お隣りのおばあちゃまが家の前に打ち水をしてたり、子供達が学校のプールへ通ったり、スターバックスカフェの前で
ばったり会ったご近所同士が挨拶をしてたり。

お米やサンの店先に張り出された町内子供会夏祭りの手作りポスターを立ち止まって眺めてみたり。
春先に剪定されたばかりの南青山住民達のお庭では、蝉たちがその鳴き声をあちこちで競い合う。
この季節になるとやってくる「アイスキャンディー」売りの自転車がチリンチリンと転がすような鈴を鳴らして往来を行く。

お盆休み、というシーズンは
田舎を持たない都会の人間たちにとって、心静かに普通に暮らせるありがたい夏休みなんである。

そんな中。
先日大学在学中にフランス人男性と結婚した同級生がパリから戻ってきた。
5年ぶりの帰郷なので、彼女は南青山の変貌ぶりにいたく心を打たれたらしい。

いつも帰省の折には手みやげにしていた「フラゴナール」と「ピエールエルメ」が出店されていたことで、
「ああ、もう南青山で手に入らないパリグッズはなにもないんだわ」と嘆くことしばし。

フランス製品のがんばりは、フランス国民である彼女には大変喜ばしくあっても、ここまで全てがそろってしまう現況には
少々複雑な物があるらしかった。

東京のピエールエルメにお茶をいただきにいきましょうよ。

との申し出に、「混んでるからよそうよ」と断るも、彼女はどんなメニューなのかを確認したい、と強情を張る。

しかし、お盆シーズンのがらがら南青山では意外にも本日最初のお客様となった私たち。
勧められる革張りのソファーにゆったりと腰を下ろし、メニューを優雅に広げました。

あなた、読める?

と、きかれて上から順に黙読、とはいかずに、小さな声を出しながらゆっくり追って読んでみると。
あああああああああ!

よ、よ、よ、よめました!
最初から最後のページまで、カタカナ表記お品書きの上に印字される筆記体のフランス語メニュー!
嬉しい!
こんなに嬉しいことはない。

先週だってラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション へ行ったけれど、フランス語のメニューを読むなんて思いもしなかった。
だって、フランス語のメニューでフランス料理をオーダーする奴(しかも東京で)かなり嫌みな印象でしょ?

でも確かにフランス語を勉強しているんですもの、日本語の通じる東京で、フランス語のメニューつかってフランス語勉強して悪いこともないんですよね。うーむ、そうか。なるほど。

フラ語メニューを置いてあるならフラ語が通じるということ。
ギャルソン相手にフラ語でオーダーしてみましょう!

と、いうことで。
しましたよ、アタクシ、フランス語でオーダー、ピエール・エルメ(笑)
と、いっても、ウン・カフェ、トロワデショコラボンボン、シルブプレ! くらいのものですが!

ギャルソンには「フラ語の勉強中だからフラ語で言わせてね」と、前置きしたけれど、やっぱり緊張!
外でフラ語を使うのってプレッシャー。
おっかなびっくりのオーダーだったけれど、店内に私たちだけしかいなかったこともあって、大胆な発音に挑むことが出来ました。

「うひゃー! クラス以外でフラ語を口にしたの初めてー!うひー」
さかんに照れるワタクシ、友人とギャルソンに発音を褒められて大変良い気分になりました。

フラ語夏期講習は明日から出発2日前まで連日7時間のびっしりクラス。
午前午後会わせて5時間はクラスで、夕方2時間はプライベートで会話演習。

やれやれ、だいじょうぶかな、と不安になっていたワタクシだけど、フラ語メニューの読破と、褒められた発音で
2週間後のフランス出発が今から待ち遠しくて仕方がないのであります。



Posted: 日 - 8月 14, 2005 at 01:28 午後        


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