咳き込む・空腹・うら寂しい
咳き込む風邪を引いた。
発熱もあるが、症状は？ と聞かれたら「咳」と即答できる
芯のはいった咳を伴う風邪である。
こほん、こほん、からではなく、げほげほげほげほげほげほげほーーーーーーっ
と、唐突に始まって、それがまるまる３日間止まることをしなかった。
何が辛いか？
と、問われたら
「ねむい、さむい、おなかがすいた」
を挙げてそろそろ４０年になるけれど、この咳き込みのために、いつもいつも空腹の状態になってしまった。
人は笑うかも知れぬが、私はそれがなにより辛かった。
とにかく、私は空腹に弱い。
高校生のころデートしてる最中に、あまりにも空腹になりすぎて、
映画館で泣き出してしまったことがある。
スターウォーズのどこで泣けるのか、見当もつかない城南高校の小林くんは
必死にこそこそ声で「だいじょうぶ？」「どうしたの？」と、映画が終わるまでずっと心配してくれた。
咳は体力を消耗する。
ものすごく疲れる。
喉だって痛むし、痛んだ喉は潤いを喜ぶ。
だから、水分をたくさんとりすぎて、大好きな固形物がまったく食べられなくなってしまう。
咳は止まらず、またしても疲労する。
なにかを食べる前に、またしても喉を潤してしまう。
そして、やはり、食べ物が入らぬようになる。
そうこうしているうちに、胃袋は誰の許可を得たのか知らぬが、どんどん萎縮して、
ますますその許容量を少なくしてしまった。
人は（私は）そういうわけで、空腹だと泣き出してしまうほどの人間だから、ベッドの中で
ひとりさめざめ泣くことになってしまった。
さめざめ泣きながら咳き込む図は、肺病みの少女のようで、儚く可憐な絵になろう。
が、しかし、私は乙女でないのでさめざめ泣いても咳は例の、
げほげほげほげほげほげほげほーーーーーーっである。
すると、家人はおろか、見舞いの客さえ『あんなのうつされたらたまらん』と、寝室へ近寄りもしない。
咳は出るし、お腹はすくし、誰もこないし、なにもかにもに見放された置屋のおっかさんの気分である。
映画「鬼流院華子の生涯」では、結核にかかった岩下志麻を看病したの、たしか、娘役の夏目雅子だったよなあ。
やっぱ娘、生みたかったなあ、なんて馬鹿なことを朦朧と考えながら、うら寂しい三連休。
だいたい、今時の娘、とは言わずも、もしも私の母が結核にかかったとしても、そんなの診るのやなこった。
うつってたまるか。
ま、確かにそう思います。
仮に娘がいたとしたって、結核の私を診てくれるとは思えません。
それに、いまどき、ななた、結核、直りますからね。
だから、そーゆーこと、いうから貴方と離婚したいのよね！
枕元でりんごむいてる夫をにらみつけるワタクシなのでした。
Posted: 日 - 2月 13, 2005 at 09:01 午後