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花より犬


先日近所のスターバックスコーヒーへ出向いた折、ものすごい犬をみた。
連れて歩く女性の背丈ほどもある大きな犬。
もちろん、高さと同じく、奥行きもずいぶんとある大柄な、でもすごくスマートで精悍な犬。
ピンッとたつ両耳は15センチはあるだろうか。
あんな犬、初めて見ました。

このへんを散歩している犬たちは、それこそ世界中から集められたさまざまな種類ばかりだから、
たいていの犬なら驚かないで「まあ可愛いわね」なんて言いながらすれ違う。

それが、その犬ときたら!
南青山の住民を振り向かせ、感心させるほどの珍しさ。
しかも、その長い両耳に、どういうわけか発泡スチロールの耳当てをしている。
犬の成長過程におけるなにかの処置なのか、怪我の処置なのか不明だけど、
それもちょっと目立って目を引く要因のひとつである。

いったいなんという犬なのか。
「あなた、この犬すばらしいわねえ」考えるより先に言葉が先にでるのがおばさん丸出しで悲しい。
しかし、私も、犬の散歩をしている女性だって立ち止まってワンちゃん談義をするほど暇ではなかった。
午前中の骨董通りは仕事先へ急ぐ人間が鮭の産卵のごとく、わんさとあふれかえっている。
私もスタバに朝のコーヒーを買いに出かけたところだし、きっと彼女も犬の散歩ではなく
犬の撮影スタジオかなにかに向かうところだったに違いない。

その犬をつれているモデル並の可愛らしさを持ちながら、犬の背丈にもおよばない小柄な女性。
コーヒーマグを持ったままの私に、彼女は訓練された笑顔を向け、私も地元住人らしい余裕の微笑みをかわし、
軽い会釈でお互いに反対方向へ歩いていった。

彼女が大分向こうへ行ってしまってから、私と同行していたアシスタントのH嬢が「○○さん、今の『あゆ』でしたよ!」と興奮気味に騒ぎ出したけれど、「だれよ、それ」と、つれない私。

ほらほら、あの子!
H嬢が指さす先に「はまさきあゆみ」という女性のニューリリースアルバムの大きな看板が掲げてある。
「へえ、あの子だったの。すごく可愛かったけど小柄だったわねえ」

「もう! アタシ、○○さんがへんなこといったらどうしよう!ってすごく慌ててたんですよ!」
とH嬢は失礼極まりない。

でもねえ、そんなこといわれたって知らない人間には驚けないです。
知ってる人間だったら驚きますよ、ワタクシだって。
実際、その日の午後、近所の飲茶屋の前で『林真理子氏』とすれ違って、内心どきどきで
大興奮したんですから。

Posted: 月 - 12月 20, 2004 at 04:00 午後        


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