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アラビアンナイト的生活


先日外交官になった旧友と食事をしたときの話し。
彼女は一年のうち1ヶ月は東京にいるけれど、あとは海外での生活。
しかも、アラビア語が堪能という特殊技能から「イスラエル」「ヨルダン」「シリア」などの
情勢に問題有り、といったエリアに駐在することが大変多い。
現に今も「アブダビ」に駐在している。
テロやテロリスト、戦争、銃撃、など、普通では考えられないような現実が日常化している場所である。

その彼女。
何が食べたい? の問いに「和食和食和食!」と大騒ぎだったので、
表参道の少しシックな和食の店に予約を入れた。

ご飯がおいしい! と感激する彼女は、アブダビでどんな生活をしているのか?

アブダビのいいところは「消費税」がかからないところ。
石油で国の財政が潤っているから、税金などは微々たる物らしい。
私はそういうお店に興味はないけれど、という前置きをしてから語った話しによれば、
ティファニーやらブルガリやら、そういう店は驚異的に低価格で、あんな値段を知ったら
他の国の同じ店舗で買い物しようなんて思わないでしょうね、とのこと。

日本での知名度はほぼゼロ、に近いアブダビだけど、あの辺のお金持ちたちにとっては
「高級リゾート」として名をはせている場所なので、高級ブティックや、レストラン、ホテルなどは
想像以上のハイクオリティだそうです。

四駆でちょっと走れば砂漠がひろがり、放牧のらくだたちをのんびり眺めることができる。
今でこそ慣れた目にその景色はなんの刺激もないけれど、初めて見たときは感動したわ、と彼女は語る。

しかし、やはり苦労せずに石油という天然資源で潤う国の国民達は、頭を使って仕事をしたり、
なにかを工夫したり、考えたり、そういった日本ではあたりまえの行動がとれないらしい。

つまり、狭い土地に住むための工夫や、効率的に仕事をはかどらせるための工夫、
相手の気持ちや立場を思いやる気持ちなどがまったく育っていないのだそうだ。

工夫せずとも外国からいくらでも企業がやってきて工場や会社を建てたがる。
雇用の確保、どころか、会社を置くだけで、現地の人間に法外な金を保証させる。
現地で或る程度のコネを持つ人間はそれだけで年間日本円にして4,5千万の給料を受け取るのだそうだ。
コネのない人間も、税金がほとんど無いから、あくせく働かない。

日本に戻ると、こんなに狭い土地にこれだけの人間の住むスペースを確保してる事実に驚嘆する。
と彼女は言う。

なるほど、そんなものか。
80平米ほどのちっぽけなスペースに住む東京人は感心しながら話しを聞く。

ああいう国は今にダメになるわ、人間が馬鹿になって。

へええ、そういうものかあ。

あなた一度あそびにいらっしゃいよ、アブダビ。
夏休みどう? 子供達も連れてきたら喜ぶわよ。

今まで一度も訪れたことのない中東の国。
こんなチャンスを逃したら、次回のチャンスはなかなか巡ってこないだろう。
そう思えば「行ってみたい」好奇心がむくむくと頭をもたげてくる。

情勢的にはおっかないけれど、それでもやはり興味は尽きぬ。
どうしようかな、いきたいな、思いあぐねている私に彼女は
「もしも子供達と来るのが不安なら、ご主人もつれてらっしゃいよ」
「ベッドルーム7つあるからだいじょぶよ」
と笑顔で彼女は胸を叩く。

えーーーーーーー! 7ベッドルーム??? 80平米スペースの住人にそんな広さは想像できない。

彼女の住居はもともと国王の奥様、つまり王妃の持ち物だったところなので、家具や調度品もそのまま。

7ベッドルームの元王妃の別荘。
まさに想像するのは「アラビアンナイト!」
にやけた顔つきになった私に
「そうよ、まさに想像通りのアラビアンナイトなんだから」と彼女は言った。

わーーーーー! 行きたい、行ってみたーい!

そこに住んで子供を育てて自分もどっぷりつかってしまったら、頭を使わない馬鹿になってしまうらしいけれど、
バカンスで訪れるなら、こんなに楽しそうで目新しいところもないだろう。
情勢が危険なら、考えられる限りの自衛をして無茶をしなければいいのだし。
高級ブティックに興味はないけれど、中東の大金持ちが集まる中東高級リゾートなんて、いったい
どんなところなんだろう。
破格の大金持ちたちはどんなバカンスを過ごすのだろう。
考えれば考えるほど興味は尽きぬ。

パスポートを眺めながら、今ものすごく気分が盛り上がっているのであります。

Posted: 水 - 7月 6, 2005 at 09:08 午前        


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